生徒たちが見つけたシンガポール
令和8年度の中学生海外派遣事業では、15人の生徒がシンガポールの学校や家庭、街の中で、日本とは異なる文化や暮らしに触れました。
ここでは、生徒たちの感想文から、シンガポールで見つけた発見をテーマごとにご紹介します。
01|日本とどう違う?
シンガポールの学校生活
学校の昼食は、自分で選ぶ!
学校交流で生徒たちが驚いたことの一つが、昼食のスタイルです。
訪問先の学校には、さまざまな料理を販売する食堂があり、生徒たちは好きなものを選んで食べていました。
日本の給食とは違う食事のスタイルは、生徒たちにとって印象的な発見だったようです。(H.N.さん、Y.K.さん)
シンガポールでは、こうした学校の食堂を「キャンティーン(canteen)」と呼びます。
※ちなみにイギリスでも学校や職場の食堂はCanteen。アメリカではCafeteria(カフェテリア)と呼ばれます。
▶ もっと知りたい!|学校の中にフードコート!? シンガポールのキャンティーン
シンガポールの学校は4学期制
日本の多くの中学校が3学期制なのに対し、シンガポールの公立中等学校では、1年を4つの学期に分けています。
2026年は1月に新学年が始まり、11月に学年が終わります。学期の間には休みがあり、5月末から6月末には約1か月、11月下旬から年末には約6週間の長期休暇もあります。
日本と学校の1年間のリズムが違うことも、生徒たちにとって新しい発見でした。(Y.K.さん)
生徒たちの自主性にも驚き
学校交流では、現地の生徒が自分たちから先生に申し出て、バスケットコートを作ったり、学校にアートを描いたりしたという話を聞いた生徒もいました。
その積極的な姿勢に刺激を受け、「自分も何か自ら申し出てやってみたい」と感じたそうです。(T.K.さん)
授業や学校の仕組みだけでなく、同じ年代の生徒たちの考え方や行動からも、多くのことを学んだ学校交流となりました。
02|食べて発見! シンガポールの食文化
ホストファミリーが作ってくれたチキ ンライス
ホームステイで印象に残った食事の一つが、チキンライスです。
マレー系のホストファミリーが手作りしてくれたチキンライスを食べ、その思い出を感想文につづった生徒もいました。(U.N.さん)
シンガポールで親しまれている料理の一つに「海南鶏飯(ハイナンチキンライス)」があります。中国の海南島にルーツを持ち、鶏肉と、鶏のうま味を生かしたご飯を組み合わせて食べる料理です。
日本のケチャップ味のチキンライスとは、見た目も味も異なります。
屋台で食べる、シンガポールのご飯
ホームステイ中、ホストファミリーと屋台へ食事に出かけた生徒もいました。
日本のお米はもちもちしていますが、現地で食べたご飯は細長く、パラパラとした食感で、チャーハンのようでおいしかったそうです。(Y.K.さん)
シンガポールには「ホーカーセンター」と呼ばれる、さまざまな屋台料理が集まる施設があります。
中国系、マレー系、インド系など、多様な文化にルーツを持つ料理を楽しめるのが特徴です。こうした屋台文化は、2020年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。
食べ慣れた日本の味にも気づいた
一方で、現地の料理を体験したことで、日本の食事のよさを改めて感じた生徒もいました。
出発前は現地の食べ物を何でも楽しもうと思っていたものの、実際には早く日本に帰って食事をしたいと感じたそうです。
それはシンガポールの料理がおいしくないということではなく、自分が日本食に慣れ親しんでいるからではないか、と振り返っています。(M.S.さん)
新しい料理との出会いも、食べ慣れた味への気づきも、海外で生活を体験したからこその発見でした。
03|暮らしの中で見つけた、日本との違い
車が家と同じくらい高い!?
ホームステイ中、ホストファミリーから「シンガポールでは車が家と同じくらい高い」という話を聞き、驚いた生徒がいました。(T.K.さん)
シンガポールでは、車を購入する際に、車両代金とは別に「COE(車両所有権証書)」を取得するための費用などが必要です。
国土が限られているシンガポールでは、交通渋滞を抑えるため、車の登録台数を制限しています。車の価格の高さには、こうした国の仕組みが関係しているのです。
▶ もっと知りたい!|なぜ車がそんなに高いの? — COE制度
ホームステイ先で見つけた、住まいの違い
ホームステイ先の家でも、日本との違いを発見しました。
天井には大きなファンが付いており、ベランダはロールカーテンで仕切られていました。また、浴室には日本のような湯船がなく、シャワーだけだったそうです。(B.M.さん)
シンガポールは赤道に近く、一年を通して高温多湿な気候です。天井のファンなど、住まいの設備にも暑い地域ならではの工夫が見られます。
普段は当たり前に思っている家の造りにも、国や地域による違いがあることに気づきました。
日本ではおなじみの自動販売機も?
ホストファミリーから、シンガポールでは日本ほど自動販売機を見かけないという話を聞いた生徒もいました。(T.K.さん)
日本は世界でも自動販売機が多い国として知られています。シンガポールにも自動販売機はありますが、日本では当たり前のように見かける自動販売機も、国が変われば、その数や設置場所は違います。
身近なものについての何気ない会話も、日本と海外の暮らしを比べるきっかけになりました。
バスに乗るときも、日本とは違う?
現地のバスでは、乗車するときに専用のカードをかざす仕組みが印象に残った生徒もいました。(I.A.さん)
シンガポールでは、バスやMRTと呼ばれる鉄道が、人々の身近な移動手段になっています。
車の購入には高額な費用がかかる一方で、公共交通機関が整備されていることも、シンガポールの暮らしの特徴の一つです。
ホームステイ先での生活や街での移動を通して、生徒たちは日本とのさまざまな違いを見つけました。
04|さまざまな文化が暮らすシンガポール
民族衣装を着て、文化の違いを体験
ホームステイでは、ホストファミリーに民族衣装を着せてもらった生徒がいました。
初めは言葉や文化の違いに不安もありましたが、ホストファミリーは分かりやすい英語で話しかけ、温かく迎えてくれたそうです。(H.N.さん)
シンガポールには、中国系、マレー系、インド系など、さまざまな民族の人々が暮らしています。それぞれに受け継がれてきた伝統的な衣装があり、民族衣装はその文化を知る手がかりの一つです。
実際に衣装を身につけることは、見るだけでは分からない文化に触れる貴重な体験となりました。
言葉が通じなくても、伝え合える?
ホームステイでは、初めは言葉や文化の違いに不安を感じていた生徒もいました。
しかし、ホストファミリーが分かりやすい英語で話してくれたり、民族衣装を着せてくれたりしたことで、異なる文化に触れるとともに、人の温かさを感じたそうです。(H.N.さん)
学校ではさまざまな文化を持つ生徒たちが共に学ぶ姿を見て、家庭では異なる文化を持つ人から温かく迎えられる。その両方の経験が、文化の違いを認め合い、尊重することの大切さを考えるきっかけになりました。
チャイナタウンに教会がある!?
ホームステイ中、ホストファミリーとチャイナタウンを訪れた生徒もいました。
にぎやかな街には寺や屋台、お土産物屋が並び、100年以上の歴史を持つ教会も見学しました。(O.T.さん)
チャイナタウンという名前ですが、中国系の文化だけが集まっているわけではありません。仏教やヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教など、異なる宗教に関わる建物が近い場所に見られるのも、この街の特徴です。
さまざまな文化や宗教を持つ人々が、同じ街で暮らしていることを、実際の街並みから感じ取ることができました。
05|歴史と街の中で見つけたシン ガポール
街に国旗がいっぱい! その理由は?
シンガポールの街を歩いていると、ベランダや窓辺、部屋の中など、さまざまな場所に国旗が飾られていることに気づいた生徒がいました。(B.S.さん)
実は、シンガポールの独立記念日「ナショナルデー」は8月9日。独立を祝う時期には、住宅や街のあちこちに国旗が掲げられます。
シンガポールは1965年にマレーシアから分離して独立した国です。
たくさんの国旗を実際に見た生徒は、人々が自分たちの国を大切にしていることを感じたそうです。
1961年の大火災から学んだこと
ホームステイ中、ホストファミリーと消防署の隣にある博物館を訪れた生徒もいました。
そこで知ったのは、1961年に起きた大火災の歴史です。当時使われていた消防車両も見学し、昔の消火活動には多くの困難があったことを学びました。(S.R.さん)
この火災は「ブキ・ホー・スウィー大火災」と呼ばれ、約1万6,000人が住まいを失いました。
実は、この大火災は、現在のシンガポールの街づくりにも深く関わっています。
高層住宅が立ち並ぶ今のシンガポールと、60年以上前の大火災。いったい、どんなつながりがあるのでしょうか?
15人、それぞれの発見
同じシンガポールを訪れても、心に残ったことは一人ひとり違います。
学校での交流、初めて食べた料理、ホストファミリーとの時間、街で見つけた日本との違い。
15人の生徒たちは、それぞれの体験を通して、教科書だけでは知ることのできないシンガポールの姿に出会いました。
その発見の続きは、生徒たち自身の言葉で。
